零責百権
 責任は限りなく軽く、権限は120%行使 
月刊 千葉ニュータウン2009年8月8日付

合併「離脱」? 
 印西市・印旛村・本埜村の合併協議は、7月15日の第10回合併協議会ですべての項目の協議を終えた。

 一方、この間合併協議に対して終始批判的な言動を繰り返してきた小川利彦本埜村長をめぐって、次のような動きがあった。
◇7月15日の最終協議会で、小川村長は新市基本計画の採決時に退席し、採決に加わらなかった。

◇ 7月7日岩井義夫、吉本幸弘両議員が村長不信任を付議する村議会の召集を請求。地方自治法では、議員定数の4分の1以上の者が、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求でき、首長は請求があった日から20日以内に臨時会を召集しなければならない。

◇小川村長は法に定められた議会の招集期限である7月27日までに議会を召集せず、27日午後5時に開いた記者会見で「不信任案が可決されると政治的空白が生じるから」臨時会を招集するつもりがないことを表明した。

◇本埜村議会は、7月28日臨時議会を招集しない村長に対して厳重に抗議するとともに、印西、印旛の首長、議会に対して、議会として合併推進に揺るぎない決意で臨むことを表明した。

◇合併協議会では、これまでの合併協議に基づく新市基本計画に係る千葉県との協議で同意が得られたため、30日に3市村で合併協定書への調印を行おうとしたが、本埜村長から出席できないとの連絡があったため、調印をとりやめ、合併協議会会長が協議が整ったことを確認する書類を作成し、協定書の作成に代えることとした。

◇小川村長はその後も臨時会招集を拒否し続けており、本埜村の「地方自治法違反」状態は続いている。さらに、小川村長は合併協議会事務局に出向させている職員の引き上げを示唆しているとの情報も伝えられ、合併協議からの「離脱」とも受け取れる構えをみせている。

 
首長の権限と責任 
 小川村長が議員からの請求があった臨時議会の召集を拒否している件(地方自治法違反)について、県や総務省の担当者から解説してもらった。

 まず、自治法101条にはいわゆる「罰則規定」がないという点。これは、しかし「罰則がないから」破っても何も罰せられない(トクした)というような話ではなく、法律の趣旨からいって、首長がこうした法律を破るなどということがそもそも想定されていない(地方自治の建前から、そんなことを想定すべきではない)ということにほかならない。

 逆にいえば、こういう法律を平気で破る小川利彦氏という人物は、首長の責任と権限ということをはき違えており、そもそも一つの自治体の長になどなるべきではなかった人物、そのことが明瞭になった時点で一刻も早くリコールされるべき人物という結論になる。

 第二に、このような首長による明確な法律違反に対して、住民の側は「行政訴訟」のような対抗手段がないのだろうか。

 結論からいうと、有効な(訴訟などの)法的対抗手段はないようである。ポイントは、ここでいう住民とは一種の抽象概念としての住民だということである。

 たとえば住民Aさんといった具体的な生きた住民が行政から不当な扱いを受けたというような場合には、さまざまな救済措置が考えられており、そうした救済を求める訴訟などの法的手続きも用意されている。一方、抽象概念としての「住民」は、いわば地方自治の運営という「舞台」の上では、首長や議会と同様、一個の役者、プレイヤーという位置づけのようであり、各プレイヤーは、それぞれ固有の権力を持ち、互いに対等であり、それぞれが持つ固有の権力は、通常は第三者(国、司法など)が踏みいることのできない「聖域」として、均衡が保たれているという考え方が、民主主義、地方自治の根幹に存在するようだ。

 したがって、各プレイヤーは、自らの利益、権利等が他のプレイヤーから侵害されたと考えられる場合には、プレイヤー間の関係の原点に戻って行動することだけが残された「対抗手段」「解決策」ということになる。今回のケースでいえば、住民プレイヤーは、「選挙」という自らの最大の権限を行使することを通じて、首長プレイヤーに対抗するしかないというのが、唯一の結論になる。

 
見えてきた合併の実現性 
 本埜村は、村長が議会の召集を拒否しているため、議会で迅速に処理しなければならない他の案件もストップしており、村長の弁明とは逆に、村長の行動こそ「政治的空白」どころか、一種の無政府状態を生み出してしまっている。

 首長が公然と地方自治法を破った上に開き直っている異常事態に対して、県は、臨時会招集の告示期限だった7月24日に自治法第245条の「技術的助言」を行い、その後も「早期に議会を招集する」ことを求める是正勧告などの動きを示している。

 こうした一連の経過を冷静に眺めると、ここに来てようやく合併の実現性が見えてきたといえるのではないか。

 小川村長は、はっきりと合併「離脱」をめざしており、それによって1市2村の合併全体を崩壊させようとしている。

 これに対して、議会は引き続き合併推進に揺るぎない決意で取り組むとともに、議会の早期召集を求めて、村長と対峙している。

 そうした状況で、村長がいつまで頑張れるのか。村長は、村内でも合併協議の場でも、これまでの数々の「不規則言動」により、いまや完全に孤立しているし、政治的にもこの先展望も出口もない。臨時会招集拒否により、ついに県や国までも公然と敵に回してしまった。

 臨時議会の召集を拒否していても、やがて9月議会、12月議会と定例会(年4回)が迫ってくる。村政で処理しなければならない案件も次々とたまってくる。

 議会の中の6人の議員は、すでに不信任に賛成の意向を示している。

 村長の「切り崩し」が試みられたとしても、いまや議会も個々の議員の挙動は、きわめて透明性の高い環境にある。本埜村でこれまで行われてきたような「密室政治」が成り立つ余地はなくなっている。密室の中でヘンなことをしたとしても、直ちに村民の激しい糾弾にさらされる。

 村長と議会との我慢比べ、前者の勝算は限りなくゼロに近い。