懲戒解雇裁判で執行停止命令
即時抗告も棄却
月刊 千葉ニュータウン 2007.10.13

 本埜村(小川利彦村長)がコンサルタント会社に委託して実施した「都市マスタープラン策定調査」などの調査報告が未完成だったのに、不当に委託料を支払ったとして、当時担当した職員を懲戒解雇したことに対し、この職員が解雇処分の執行停止を求めていた裁判で、千葉地方裁判所は7月20日処分の執行を停止する決定を下した。また、この決定を不服として村が行った即時抗告に対しても、東京高等裁判所は、抗告棄却を申し渡した。

 千葉地裁の判決文をみると、懲戒解雇処分を受けた職員Aさんが訴えている処分の執行停止の必要性(重大な損害を避けるため緊急の必要があるかどうか)については、その必要を認め、Aさんはすでに職場に復帰した。

 この裁判は、懲戒免職処分自体が裁量権の範囲を逸脱または濫用した違法な処分であるとして、処分の取り消しを求める一方、本案判決確定まで処分の効力を停止することを求めていたもので、いずれ懲戒免職処分自体の正当性についても裁判所の判断が示されることになる。

 処分自体をめぐる、村とAさんの主張をみると、村側は、報告書をまとめる業務が完了していないのに、コンサルタント会社方に委託料を支払い、村に1200万円の損害を与えたと主張しているのに対して、Aさん側は@平成13年5月末にコンサルタント会社から提出された仮報告書で、各業務はほぼ完了していた、Aさらに、平成17年度に仮報告書と同じ内容の正式な報告書が提出され、内容的にも形式的にも本業務は完了した、と主張している。

 今回の判決理由のなかで、これらの点についてふれている件をみると、@仮報告書の提出をもって、実質的には本件各業務をほぼ完了していたといってよい状態であった可能性がないとはいえない、A平成17年度に提出された報告書をもって、本件各業務が完了しているといえなくもないとして、村側の主張に疑問を投げかけている。その結果、BAさんが村側に1200万円の損害を与える結果となったということもできない、としている。

 さらに、これらを理由に行われた「本件処分は処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱濫用した違法なものであるとの疑いを払拭することはできない」との判断を示している。

 いずれも、法律の番人らしい、慎重で回りくどい表現だが、村側の主張が懲戒免職処分を正当化できるものであるか否かについての裁判所の考え方が示唆されているといえるだろう。

 今後は、処分そのものの正当性を争う裁判が進行するとともに、Aさんは千葉県公平委員会にも、処分に対する不服を申し立てており、これまでに準備手続、証人尋問、準備書面陳述などが行われてきており、今のところ11月頃裁決が下される見通しである。

 執行停止決定に対して、村側は7月26日に即時抗告を申し立てたが、その際に抗告の理由を述べた書面を所定の期限である8月9日までに提出しなかったため、抗告は棄却された。

 これについて、小川村長は「2週間以内という短期間に新たな証拠を探し、理由書を作るのは大変な仕事」であり、弁護士も頑張ったが、結局それができなかったと説明している。

 しかし、これは説明にも言い訳にもならない、村としては致命的な失態だったというしかない。

 仮にも一つの地方公共団体のトップを務める者が、その団体が訴えられている裁判で、裁判手続き上必要な書類を提出できなかったため、裁判所から「棄却」を言い渡されたということは、そもそもの行政(指揮)能力、事務処理能力、危機管理能力を欠いていることを意味し、この裁判の行方以上に深刻な疑義を本埜村の行政運営全般に投げかけてしまった。

 Aさんは、報告書が「未完成」なのに業者に委託料を支払った(裁判所では必ずしもそのように認識していないようだが)として、本埜村執行部から懲戒免職処分を受けた。

 その本埜村執行部は、即時抗告手続きをしている最中に、裁判所から求められている理由書を提出できなかった。「未完成」といえば、これだって、いやこの方がはるかに深刻で致命的な「未完成」ではないのか。

 こちらの「未完成」に対しては、誰が、どのような「処分」を下すのだろうか。
行政点検「もとの」トップへ