北総線のこれからは?

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#88 2011年3月6日(日)22時07分
From: 野生の風さん [返事]

○ 民鉄線方式で鉄道を建設した鉄道事業者の現状

 機構の債券内容説明書の「事業等のリスク」という項目の中に「民鉄線事業に関する償還条件の変更等に伴うリスク」についての記述があります。「当機構の投下資金について、当初計画の償還条件が変更等される可能性」があることを開示しています。

 民鉄線方式で建設した鉄道事業者の経営状況が鉄道・運輸機構の事業運営上のリスクとして認識されています。

 会計検査院は平成11年度検査の「特定検査対象に関する検査状況」の項で「日本鉄道建設公団が建設し第3セクターに譲渡した民鉄線に係る譲渡代金の償還状況について」報告しています。(会計検査院のホームページから「過去の検査報告」→「目次検索へ」→「平成11年度」→「第4章第2節第5」で検索可能)

 上記検査で北総線について
「計画になかった地元の要請による駅の新設や物価の高騰等により、建設費は計画に比べて54%増こうし、譲渡価格は1期線、2期線を併せて1298億円となった。」と指摘しており、北総鉄道の累積赤字が膨らんだのは入居不足による運賃収入の低迷だけでなく、計画になかった駅の新設のような過大投資で鉄道・運輸機構への債務が膨らみ、金利負担が増えたのも原因だと思います。

 会計検査院の検査の背景(以下会計検査報告より)
「民鉄線制度は昭和47年に創設されたが、当初は、既存の鉄道事業者が既存線の大改良やニュータウン新線等の建設を公団工事により実施し、譲渡を受けるものが中心であった。そして、その譲渡代金の償還については、大改良の場合は元来輸送需要の多い路線が対象となっており、新線建設の場合は既存路線の収益を充当することが可能であることから、現在まで問題が生じていない。
 しかし、50年代以降、事業の採算性等を考慮して民間鉄道事業者が積極的には参入しない路線について、地域住民の交通利便の向上や沿線地域の発展のため、地方公共団体が出資して設立した第3セクターなど既存路線を持たない会社(以下「第3セクター等」という。)が鉄道事業者となって譲渡を受ける事例が見受けられ、平成12年6月までに7線が譲渡されている。そして、近年、これらの鉄道事業者の中で経営が破綻したり、公団に対する譲渡代金の償還ができず公団から償還条件の変更を受けたりするなどの事態が発生している。」

 また、合意書賛成派の方が値下げに自治体が補助金を出した例として挙げる北神線(北神急行電鉄)の件についても触れています。
 開業後の乗客数が平成11年度実績で計画の37%にとどまっている要因を以下のとおり分析しています。

〔1〕 沿線のニュータウン開発が11年度末現在で計画の68%と遅れていること

〔2〕 神戸市内へ向かう通勤通学者の利用を見込んでいたが、同線の開業より2年早く新 三田まで複線電化された西日本旅客鉄道株式会社福知山線を利用して大阪方面に通勤通学する入居者が予想以上に多かったこと

〔3〕鉄道と並行する道路が整備されバスとの競合が生じたこと
 
 上記のような要因で「11年度以降、兵庫県及び神戸市から交付されることとなった毎年度5億円の補助金を原資として運賃の値下げを行い、乗客数の増加を図っている。」

 現在の北総鉄道の経営状態とまるで違う状況で値下げが行われています。つまり、経営状態が悪くても市場競争があるから値下げをして利用者を増やすという戦略を採らざるを得なかったのだと思います。また、経営改善のために「9年度には、近年の金融市場における低金利状態の下で、出資者から受けた低利融資の資金で公団に対して80億円の繰上償還を実施」しています。後に触れますが、北神急行電鉄は、平成14年に第1種鉄道事業を廃止し、第2種鉄道事業者となり、鉄道・運輸機構の残債305億円全額を一括繰上げ償還して単年度黒字経営を続けています。値下げを実施するためにはどうすればいいかという参考になります。

つづく


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