その運賃認可に異議あり!!

はじめに

■北総沿線住民が国を提訴
■不合理きわまるメタボ運賃
 近高・遠安のメタボ運賃は、北総線沿線地域を踏み台にして走行する成田新高速の象徴
■不透明な線路使用料
 成田新高速は、北総鉄道の線路を走行するなら、正当な対価を支払え
■根拠なき高運賃据え置き
 北総は京成への理不尽な「貢ぎ」

北総沿線住民が国を提訴

新型スカイライナーの運賃、北総鉄道の運賃などをめぐって、北総線沿線住民が国を相手取って行政訴訟を起こします。

 成田新高速鉄道は7月17日に開通、上野から成田空港間を新型スカイライナーや一般特急電車が走行しますが、これに先立って京成電鉄は昨年12月16日、京成高砂~成田空港間51・4キロについて旅客運賃上限設定認可申請を国土交通大臣に提出しました。

 申請内容は、運輸審議会で審査され、2月18日に「認可することが適当」との答申に基づき、認可されましたが、裁判はこの認可の違法性を争点に争われます。


 北総線の高運賃問題は、千葉ニュータウン地域のまちづくりにおいて上最大の隘路となっていることは、この地で生活する多くの人たちの共通の認識だと思います。

 高運賃のせいもあって遅れ、低迷してきた千葉ニュータウンの開発・整備事業も3年後には収束を迎えます。

 その時に、高運賃問題はそれ自体が大きな負の遺産となるだろうことはもちろんですが、それとともに、この間の高運賃問題への取り組みにも表れている、この地域特有の自律性の欠如、県やUR(都市再生機構)、国への依存体質といったものを色濃く持ったままで、果たして「千葉ニュータウン事業収束後」の厳しい環境を、この地域が力強く着実に乗り切っていけるのか、甚だ疑問を感じます。

 北総線の高運賃問題をどのように解決していくのかという問題は、すぐれてこの地域の自立的な発展可能性、その能力をこの地域が持っているかということのメルクマール、試金石に見立てることができるのではないでしょうか。

 今回産声をあげ、その第一歩を踏み出した「北総線値下げ裁判」は、住民自らがやむにやまれぬ思いで立ち上げた運動です。

 この地に住み、高運賃に苦しんできたすべての住民の皆さん、この裁判に強い関心をお寄せください。そして、できるかたちで参加し、裁判の進行にご協力いただき、原告たちを支える物心両面でのご支援を賜れれば幸いです。

不合理きわまるメタボ運賃

 認可された運賃は、極端な近高・遠安のカーブを描いており、途中の〝腹部〟が異様に大きくせり出しているため、「メタボ運賃」と呼ばれています。

 これは、北総線区間でできるだけ運賃収入を稼ぎ、それによって全体の運賃を抑える(競合路線との競争力を保つ、成田新高速プロジェクトを安くあげる)意図が露骨に表れた運賃カーブというしかありません。

 私たちは、この運賃カーブ自体が、北総線沿線地域が置かれた、深刻な状況を表していると考えます。

不透明な線路使用料

 上述の「メタボ運賃」体系も、後述する北総線運賃の「雀の涙」値下げも、その最大の原因は、京成と北総が交わした「不透明な線路使用料」取り決めにあります。

 成田新高速鉄道が開通すると、一般特急への乗り換え需要の発生で、北総鉄道の運賃収入は減ってしまう。この減収分が、京成が北総に支払う「資本費相当分に基づく線路使用料」を上回った場合は、その差額を上乗せして北総に支払うという、京成・北総間の取り決めは、もはや独立した企業同士のビジネス取引とはいえません。

 自ら線路を保有し、列車の運行事業を行っている(第1種)鉄道会社が、第2種鉄道事業者に線路を貸与し、それによって自社の運賃収入が減ってしまうような競合路線を唯々諾々と走らせてしまうような、マヌケな鉄道会社がどこの世界にあるでしょうか。

 「京成の一般特急へ乗りかわるお客様の収入」(=北総の減収)などということがどうして起こるのか。

 スカイライナーを京成が走らせるのはいいとして、一般特急は北総鉄道が走らせれば、こんなアホな問題はそもそも起こるべくもないのです。長いこと、利用者に高運賃を強いて、ムリな経営を推し進めてきた北総鉄道にとっても、成田新高速プロジェクトの実現は、大きなビジネスチャンスであるべきです。

 北総線の線路を使って成田新高速鉄道が走るという計画が進められるなかで、「おいしいところはすべて(親会社の)京成に、負担はすべて北総に押しつける」というシナリオが着々と進行している感がありますが、そのような「シナリオ」は、一民間企業である京成グループ内部の、ムシのいい「思惑」にすぎません。北総鉄道は、千葉県をはじめ沿線自治体も出資している第三セクターであり、親会社以上に公共性、公益性の高い存在なのです。一民間資本である親会社の思惑で、公共性の高い北総鉄道がいいように振り回される状態を、これ以上許すべきではないと考えます。

根拠なき高運賃据え置き

 昨年11月30日の県、沿線自治体、京成、北総の合意に基づいて北総鉄道が申請した「4・6%値下げ」が京成の運賃とともに承認されました。

 あまりにも小幅な値下げ幅もさることながら、沿線地域からみて納得しがたいのは、こんな「雀の涙」値下げも、県や自治体の公金投入案の提示がなければ、鉄道事業者側の首がタテに振られることはなかったという点です。

 公金投入は、値下げによる北総鉄道の減収を補うとの名目で考え出された策ですが、その後明らかになったことは、前述したように、成田新高速の開業後は一般特急への乗換え客の発生により、北総鉄道の運賃収入は大幅に減収となることが想定されていることでした。

 何のことはない。

 北総鉄道は、高運賃を引き下げることによる減収は頑として認めない一方で、自社の線路を親会社にタダで走らせて、その結果運賃収入が激減することには何の抵抗も見せていないのです。

 驚くべきことに、「4・6%値下げ」なるものは、親会社から徴収すべき線路使用料を受け取らない上に、自社の運賃収入が大幅に減少してしまうような競合路線を別の会社に走らせるという文脈の中で、国に申請され、認可された運賃なのです。

 とすると、「4・6%値下げ」それ自体が、北総鉄道のかかえる巨額負債の償還負担を沿線地域に押しつけるものであると同時に、沿線地域から運賃収入の形で吸い上げた利益を親会社の金庫にせっせと移転するシステムが発動したことを意味しているのではないでしょうか。

裁判の概要

法律面の争点

 新型スカイライナーの運賃認可および京成・北総間の線路使用料認可は、それぞれ鉄道事業法16条、同15条に違反しており、認可を取り消すべきことを主張していく。

☆変更命令(義務付け訴訟)
 北総鉄道の4・6%値下げは、鉄道事業法16条2項に違反しており、国は変更を命じるべきことを主張していく。

☆原告適格

 2004年に法改正された行政事件訴訟法9条に基づき、「門前払い」されないことを視野に原告を募り、最適の原告5~7人程度をたてる。

 さらに、会社法での「結合企業」「支配・従属関係」といった視点から、京成電鉄と北総鉄道の間の取引条件についても切り込んでいくことを今後検討する。

裁判に取り組む体制
☆裁判推進母体
 「北総線値下げ裁判の会」(代表・武藤弘)が5月26日に発足。北総沿線地域住民に対して、この裁判への参加、協力を広く呼びかけるとともに、物心両面にわたり裁判を支えていく。

☆弁護団
 行政法分野での第一人者である阿部泰隆弁護士を中心に、4人(当面3人)の弁護士チームにより裁判を進める。